富士川町ホリデーバス:鰍沢口駅~小室

日本中にバス路線網が張り巡らされているが、その形態はさまざまである。バス会社が単独で運営しているものもあれば、地方自治体が実施するものも多い。後者の時刻表は、しばしば自治体のWebサイトで知ることになる。2018年8月、18きっぷを使って、山梨県の富士川町ホリデーバスに乗りに行く。計3路線あるが、今回は小室線に乗車する。土日祝日のみ運行、一日3往復。

鰍沢口駅前
鰍沢口駅前。(2018/08)

16:10 鰍沢口駅発 小室行き

甲府14:56発の身延線ワンマン列車に乗って50分、鰍沢口到着。中央線と違って、ゆっくりと車窓が流れた。向かいのホームからは、甲府行きの列車が発車した。

鰍沢口は、甲府から来た一部の列車が折り返す駅なので、鉄道時刻表を眺めていると印象に残る。実際は、ずいぶん長閑な駅である。今日は自分を含めて3人の客が降りた。

1人は駅前で待っていた車に吸い込まれていった。もう1人は自販機で飲物を買って、バス停の前で飲んでいる。この人はバスに乗るだろうと思っていたら、また別の車がやってきて、いなくなってしまった。

鰍沢口は曾遊の地で、今回は10年ぶりになる。前回訪問時には、市川三郷町のコミュニティーバス、六郷線(鰍沢口駅~つむぎの湯)が試行運行中だった。駅舎は変わったが、駅前広場には見覚えがある。10年の歳月が一気に短縮した。

2008年六郷線
2008年春、鰍沢口駅前にて。六郷線の試行運行を行う山交タウンコーチ車両。(2008/03)

発車時刻が近づいて、バス停から少し離れて待機していた車両のエンジンが始動した。結局乗客は自分だけだった。バスは駅を離れて、まずは富士川を渡る。まもなく、乗車中の車両が所属する山梨交通鰍沢営業所、バスは所内のような道に入る。そして市街地。かつて富士川舟運で栄えた街も、今は静かである。その後バスは街を離れて、小室山へ向かう道を西へ進む。川に沿った山道で、エンジンがうなる。しばらく坂道を走ると、小室山妙法寺の立派な総門をくぐり、少し開ける。鰍沢口駅から約30分、終点小室着。片道200円。ICカードが使える。

小室にて
終点小室にて。(2018/08)

終点小室

小室バス停には、屋根付きの小さな待合所があり、その脇にバスが一台丁度すっぽり収まる。周りには商店らしき建屋もあるが、道では誰にも会わなかった。終始静かだった。なお、ここから続く急坂を登れば、名刹妙法寺に行くことが出来る。バス停脇には古い案内図もあった。西日がまぶしい。今日は特に暑いですね、運転手と話す。

小室に着いて20分弱、改めてバスに乗車。名残惜しいが、門をくぐって小室を後にする。乗客は、また終点まで私一人だった。

公開日:2019年04月25日

更新日:2019年05月09日

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